パンフレットの印刷トラブル？慌てないために読む記事

パンフレットの印刷ミス？を見つけたら

ここまで原稿の作り方や赤字の出し方をご紹介してきましたが今回は閑話休題。パンフレットにはある意味つきものの印刷のトラブルについて原因と対処方法を紹介します。

結論から言ってしまえばパンフレットは印刷してしまった時点で内容にしろ、印刷上にしろ何か不具合があったとして修正することができません。

なのでここでいう対処方法とはどの様にクレームで印刷させ直すのか、発注者負担で印刷し直すのか、それともそれ以外の方法（放っておく、訂正シールを作る）を取ることを指します。

しかし印刷のトラブルというのはよく分からない用語が出てきたりと一般の人には理解しにくく、クレームを出すにしても少しでも原因が分かっていた方が印刷会社（または制作会社）に対して有利に交渉ができます。
(最近は制作会社の人間でも印刷を分かっていない人が多いので、なおのこと知っておいた方がいいです。）

まずどんな状態かを確認しよう

印刷トラブルは大きく分けて2つあります。

一つは、印刷工程（または製本工程）の不良。
もう一つはデータ上の不良。

ボクの現役時代の話をするとこういった印刷トラブルは必ずと言っていいほどありました。
印刷というのは注文生産で作るものなので他の量産品と比べて製造上のミスというのはとても多いです。

予想もしなかった様なミスが起きたことも多々あり、その度に相手方に謝罪に言ったものです。

ただ、UV印刷機（紫外線でインクを固める印刷機）が普及しだしたあたりから印刷工程のミスよりもデータ上の不良の方が多いような気がします。

納品されたパンフレットをみておかしいなと思ったら上記のどちらか確認しておきましょう。直接印刷会社に発注を出している場合は原因によっては自分たちで対処しないといけないからです。

印刷工程（または製本工程）の不具合

まず不具合の見極めですが下記の様な場合は印刷工程上（または製本工程上）の不具合です。

①　紙ついている黒っぽい汚れ、または線
②　折った位置のズレ
③　複数に渡ってあるインクの汚れ
④　絵柄が色がついた残像みたいに見える

①は主に製本時で起こる、機械による汚れです。
届いたパンフレットざっと見てみてみると入っているものと入っていないものがあることが多いので加工時に入ったものと判断できます。
印刷会社（発注した制作会社）にクレームで対処してもらいましょう。

②のパンフレットの折った位置がズレている場合は、程度によります。
製本機で折った時にズレがでることはよくあります。
ズレの度合いが大きい時は印刷会社（発注した制作会社）に問合せてみましょう

③は版キズの可能性が高いです。
基本的に全てのパンフレットの汚れが入っていると考えていいです。
インクの汚れをルーペで見たときにまるい「点」が見えないのであればほぼ100％版キズです。印刷会社（発注した制作会社）にクレームで対処してもらいましょう。
④これは、版ズレといって各色の版の位置がずれてしまっておきるものです。
CTP（Computer To Plate）というデータから直接版を起こす方法になってから減りました。
印刷は簡単にいうと4色の色に版を分けて紙の上で重ねることで色を再現しています。
今でも新聞等ではたまに見かけることがあります(笑)。

他にもページ順番がおかしいなどあからさまな印刷不良もありますがこのようなあからさまなものは省略します。

こういった印刷上の不良は基本的に印刷会社（発注した制作会社）にクレームを出せば対処してもらえます。

難しいのはデータ上の不具合

たとえば下記のようなものが該当します。

①　誤字、脱字
②　特定の線や絵柄がでない、または白くなっているまたは文字が出ない

①誤字、脱字については仕方ありません。
校正ミスです。下で紹介する訂正シールを作るかか刷り直しを印刷会社（発注した制作会社）を依頼しましょう

②については様々な要因が考えれますがデータ上の設定が適切でないことがほとんどです。
これは校正用のPDFで確認することはできません。
代表的な例でいうとオーバープリントや特色設定が関係しています。

オーバープリントについて説明すると長くなので割愛しますが特色については少し説明します。

通常印刷はシアン（青）、マゼンタ（赤）、イエロー、スミ（黒）この四色を紙の上で重ねて色を再現しています。

しかしこの方法だと鮮やかな色は発色させることができず、その場合には特色という色を足すことで再現しています。
また特定の色を正確に再現したい時にも使われます。

パンフレットですと企業のロゴ周りに使われていることが多いです。

通常はシアン（青）、マゼンタ（赤）、イエロー、スミ（黒）の4色で印刷することがほとんどです。（この4色をプロセスカラーといいます。）
特にネット印刷は基本この4色でしか印刷しません。

通常印刷用のデータに変換する際に特色がデータに入っているとエラーがでて、強制的にプロセスカラーに分解されてしまいます。

まともな印刷会社では分かった時点で教えてくれますがネット印刷ではまず教えてくれず、そのまま印刷されてします。（この場合入稿データの不具合のためクレーム対応してくれません。）

この特色ですがイラストレーター上では割と簡単に設定されてしまうため（意図しないで特色になっていることも）、制作時にデザイナーが気づいていないことが多いです。

発見した場合、直接印刷会社に発注しているのであれば印刷会社に問い合わせ原因を教えてもらいましょう、制作会社経由で印刷に出している場合は制作会社に原因を調べてもらします。

この他にも制作ツールの不具合ということもあります。
（実は結構バグがあったりします。）

データになんらかの不具合があるから起きたトラブルですから原因を特定した上で再印刷しないとまた同じことトラブルにみまわれることになります。
必ず原因と特定させてから進めていきましょう。

訂正シールはありか？

誤植の場合は、該当箇所がすくなければ訂正シールを作って上から貼り付けるという方法があります。

普通のシールと違い下が透けないようになっている専用品を使って作るのですがこの訂正シールいざ作るとなると結構費用がかかるものです。

見栄えが悪くなるので費用対効果で

パンフレットに訂正シールを貼れば見栄えが悪くなります。
ネットの印刷会社を使っている場合や安い印刷会社を使っている場合や訂正箇所が多い場合は刷り直した方が安い場合も多いです。

費用対効果で選びましょう。

こうならない様に誤植は校正を徹底しましょう。

誤植については校正で防げるものです。

前回紹介した赤字でしっかり修正をいれてチェックしていきましょう。

まとめ

最後に

印刷のトラブルは納品時まで分かりません。
しかし発見が遅れれば遅れるほど事態は悪化していきます。

納品時には一部でいいので最終校正のPDFを突き合わせておくといいでしょう。
それだけでその後に起こるであろうトラブルをほとんど未然に防ぐことができるからです。

まともな制作会社は納品時にサンプルを確認しており、不具合があれば先に手を打ってくることが多いです。

そういう制作会社は長く付き合っていける制作会社です。

トラブルを起こしたから切るのではなくトラブルが起きた時の立ち振舞いに注目してください。よい制作会社かを見極める絶好の機会ですよ。

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